SMO(治験施設支援機関)とは

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SMOとは?
SMOとはSite Management Organizationの略語です。日本語訳は、治験施設支援機関という意味です。
SMOは、治験を実施する病院やクリニックと契約し、治験の仕事を支援する民間企業です。具体的には、治験に関わる医師や看護師、事務局や製薬会社の仕事を支援することにより、治験の品質・スピード向上の支援サービスを行っている企業です。SMOは医療機関の依頼を受け、医療機関で行われる治験を支援します。たとえば、A病院から「今度、うちの病院で治験をすることになった。よく分からないから手伝って」とお願いされた後に、「はい、貴院の治験を手伝いましょう。」というのがSMOです。病院の依頼を受け、仕事をすることから主な勤務先は依頼された病院となります。
初期のSMOは、第一相試験実施医療機関やCROを母体として設立され、2003年に日本発のSMO協会(JASMO)が発足し、SMOが初めて法令上正式に認められました。その後、様々なSMOが設立され、一時期200以上のSMOが乱立しておりました。しかし、ここ数年SMOは治験依頼者である製薬企業による選別によりSMO企業が淘汰され、現在は約40か所程度に絞られている状況です。絞られている理由としまして、製薬会社が依頼を大手SMOへ集約化が進んできており、治験の質の向上やスピード化によりSMO企業が淘汰されていることが挙げられます。そのほか、急な治験中止による資金繰りの悪化により経営不振をはじめ、増加する国際共同治験への対応できる企業が限られてきていることもあるようです。
SMOの役割
SMOには、以下4つの役割がございます。
SMOの4つの役割 |
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治験システムの構築支援 | ・施設SOPの作成・提供 ・GCP対応書式の提供 ・治験責任医師/分担医師、治験協力者の教育 |
治験事務局補助 | ・治験事務局の立ち上げ ・治験事務局の運営補助 ・治験事務局の教育 ・IRBの設立・運営の補助 ・IRBのSOPの作成・提供 ・IRB委員、IRB事務局の教育 |
治験審査委員会(IRB)の設立支援 | ・治験審査委員会(IRB)議事録作成 ・治験審査委員会(IRB)の審査結果報告書などの作成 |
CRC(治験コーディネーター)の教育と派遣 | ・CRCの教育研修 ・CRC業務のフォロー ・治験バックアップ体制の確保 |
SMOと医療機関の契約について
SMOと医療機関との契約形態には、派遣契約型と委受託契約型の2種類です。
派遣契約型と委受託契約型について |
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派遣契約型 | ・治験実施のシステムができている医療機関にCRCや治験事務局要員の一方もしくは両方を派遣する形態 ・SMOから派遣されたCRCは担当するプロジェクト終了に伴い、担当病院に訪問しません ・治験事務局などのしっかりとした管理組織がすでにあり、治験が常時行われている大学病院もしくは大規模な病院で行われることが多いオンコロジー領域でよく見られる契約形態です。 |
委受託契約型 | ・治験実施機能の補助も含めた包括的に支援するもので、治験管理業務とCRC業務の両方を受託します。 ・主に中小病院や診療所、地域の治験ネットワークに多く、治験実施システムが確立されていない医療機関では、上記SMOの役割を包括的に行います。 ・中小病院や診療所は、高脂血症や糖尿病などの生活習慣病の症例も多く、この種の疾患を対象とした治験を推進するためにSMOは中小病院や診療所で治験実施可能施設の開拓を進めております |
院内CRCとSMOの違い
院内で働くCRCとSMOで働くCRCの違いを雇用と給与、勤務地と役割の4つで比べてみました。
病院内で働くCRC | SMOで働くCRC | |
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雇用 | 直接雇用だが、期間限定職員となるケースも | 正職員としての雇用が多い |
給与 | 年収350~400万円程度。昇給の幅は低い | 年収300~450万円程度。昇給の幅は大きい |
勤務地 | 勤務する医療機関のみ | 治験終了に伴い担当施設が変わる |
役割 | CRC業務以外に看護師や薬剤師、臨床検査技師の医療従事者として臨床行為に関わることも多い | CRC業務専任となりますが、臨床行為には携われません |
補足としまして、SMOで働くCRCは、担当する施設のスタッフではないため、院内CRC以上に礼節やビジネスマナー、医師や医療機関で働くコメディカルとの信頼関係構築できるコミュニケーションスキルが求められます。
SMOとCROの違い
今度はSMOとCROの違いについて説明致します。SMOは病院を支援する企業。対してCROは製薬企業を支援する企業となります。SMOに所属するのがCRC。CROに所属するのが臨床開発モニター(CRA)です。それぞれの違いを仕事内容や役割などを表にまとめてみました。
SMO |
CRO |
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正式名称 | Site Management Organization (治験施設支援機関) |
Contract Research Organization (開発業務受託機関) |
給与 | 年収300~700万円程度 | 年収400~1,000万円程度 |
勤務地 | 全国 | 札幌・東京・大阪・名古屋・福岡の都市部 |
役割 | 病院と契約して治験の支援を行う | 製薬会社から新薬の開発を受託する |
依頼主 | 製薬会社 | 製薬会社 |
主な担当職務 | crc SMA |
cra DM QC |
主な業務内容 | ・治験業務の支援 ・治験事務局業務の支援 ・IRBの設立・運営の補助 ・CRCの育成・派遣 |
・モニタリング業務の支援 ・データマネジメント業務の支援 ・統計解析業務 ・メディカルライティング業務 |
男女比 | 男性2:女性8 | 男性5:女性5 |
代表企業 | シミックヘルスケア・インスティテュート EP綜合 ノイエス エシック アイロム |
イーピーエス シミック IQVIAサービシース・ジャパン 新日本科学 メディサイエンスプラニング |
補足としまして、SMOは医療機関の治験支援業務が中心となりますが、報酬を支払うのは医療機関側ではなく新薬などの開発元、治験依頼者となります。基本的には治験依頼者がSMOに治験を実施する際に適切な医療機関の紹介依頼を受けることも多々ございます。
SMOの比較について
SMO業界は、大手企業6社をはじめ、現在約40~50社ほどございます。特に大手SMO企業と呼ばれるところは、売上や従業員数、提携医療機関数により規模が異なります。
様々なSMO企業を比べることにより、各企業の特徴が理解できると思います。応募されたSMO企業の特徴を理解されるためにも、是非SMO企業ランキングをご参照ください。
SMO企業のご紹介
SMO業界は、大手企業6社を中心に積極的にCRCの求人募集を出している企業のご紹介を致します。各企業の特徴や従業員数など一覧にしている為、応募を検討しているSMO企業はもちろんのこと、同業他社がどのような特徴なのかということを知るうえでの業界研究や面接対策にお役立てください。
企業別に徹底比較!CRCの研修内容を一挙公開
積極的に未経験のCRCの求人募集を出している企業の研修内容を比較できるページです。研修制度を重要視しているようでしたら、こちらのページをご参考ください。
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